愛犬のお口の健康、普段どれくらい気にされていますか?
実は、犬は人間よりも歯石ができるスピードが早く、たった3〜5日で歯垢が歯石に変わると言われています。
気づいた時にはすでに歯周病が進行していることも多いため、早期のケアが重要です。今回は、歯周病について正しい知識を学びましょう。
歯周病とは
歯周病は歯肉炎(歯ぐきの炎症)から始まります。進行すると歯周炎となり、最終的には歯を支える骨や組織が壊れ、歯が抜けることもあります。また、歯周病を引き起こす細菌が血流に乗って全身に広がると、心臓病や腎臓病などのリスクにもつながります。
歯周病のサイン
以下のような症状が見られたら、歯周病の可能性があります。
- 口臭が強くなる
- 歯ぐきの赤み、出血、腫れ
- 食べにくそうにしている、硬いものを嫌がる
- よだれが増える
- 顔が腫れる、膿が出る
これらの症状がある場合は、早めにご相談ください。
興味深い研究結果
2019年のJournal of American Animal Hospital Associationの研究によると、年1回の歯石取りを受けていた犬は死亡リスクが18.3%低下したとされています✨定期的な歯石取りが愛犬の寿命を延ばす可能性があることが示唆されています。
歯石取りとは?
歯石取りは、歯の表面に付いた歯垢や歯石を除去する処置です。この処置により、歯周病の予防や進行の抑制が期待できます。多くの場合は全身麻酔下で行いますが、事前の検査をしっかりと行い、健康状態を確認した上で実施します。
歯石取りの流れ(麻酔下)
- 術前検査(血液検査・画像診断など)
- 全身麻酔の実施
- お口の状態をチェック(歯周ポケットの深さの確認、レントゲンによる歯根周辺の確認など)
- 歯石の除去(超音波スケーラーを使用)
- 研磨(ポリッシング)
- 必要に応じて抜歯や縫合
麻酔について
麻酔には慎重な配慮が必要ですが、適切な術前検査と管理によってリスクは大きく軽減されます。実際の処置は短時間で終わり、回復もスムーズです。犬種や年齢によって注意点が異なるため、診察時に詳しく説明いたします。
無麻酔処置について
「麻酔が心配だから無麻酔で歯石を取りたい」というご相談もいただきますが、無麻酔での処置には以下のようなリスクがあります。
- 動物にとって大きなストレス・恐怖・痛みとなる可能性がある
- 歯の裏側や歯周ポケットのケアができず、歯周病の根本治療が困難
- 削った歯石が気道に入り、誤嚥性肺炎を起こす危険性がある
- 不適切な力で口を押さえることで、あごの骨折や歯の損傷を引き起こす場合がある
これらの理由から、当院では原則として麻酔下での安全な処置をおすすめしています。
費用の目安
処置内容や歯の状態により異なりますが、以下が目安です
- 軽度の歯石除去(抜歯なし):28,000円〜(麻酔代込み)
- 抜歯や追加処置を伴う場合:30,000〜50,000円程度
※術前検査や内服薬は別途料金がかかる場合があります
おうちでできるケア
処置後の再発予防には、ご家庭でのデンタルケアが大切です✨
- 歯ブラシやデンタルシートでの歯みがき
- デンタルガム、デンタルジェルなどの補助アイテム
- 口腔内ケア用品の使い方指導
歯みがきが難しい場合でも、徐々に慣らしていく方法や代わりとなる対処に関してのアドバイス等も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q:高齢でも歯石取りは可能ですか?
A:はい、可能です。麻酔前にしっかりと検査を行い、体調や持病を考慮しながら安全に処置できるよう配慮いたします。
Q:保険は適用されますか?
A:ご加入のペット保険の内容により異なりますが、歯周病治療としての処置には保険が適用される場合がございます。詳しくは保険会社へお問い合わせください。
当院での治療例
添付資料は7歳のわんちゃんの歯石除去を行ったときの写真です。
処置前は歯石がびっしりとついていて白い歯はほとんど見えませんでしたが、一度の処置でここまでピカピカになりました✨


最後に
実は、1歳で90%の犬が歯周病に罹患していると言われています。犬はわずか3〜5日で歯石ができるため、気づいたときには歯周病が進行していることが多いです。
愛犬が痛みなくおいしくご飯を食べられるように、定期的な歯科ケアとチェックを大切にしていきましょう。当院では麻酔下でのスケーリングをはじめ、予防歯科にも力を入れています。歯磨きが難しい、今の歯の状態が気になるといったお悩みがあれば、どうぞお気軽にスタッフにご相談ください。