犬フィラリア症(犬糸状虫症)は、蚊を媒介して犬に感染する病気で、重症化すると命に関わることもあります。
しかし、予防薬を適切に使用することで、ほぼ100%防ぐことが可能です。
フィラリア症について正しい知識を身につけ、しっかりと予防できるようにしましょう。
1. 犬フィラリア症とは?
フィラリア症は、蚊を媒介して犬に感染する病気で、Dirofilaria immitis(犬糸状虫)という寄生虫が犬の心臓や肺動脈に寄生します。感染が進行すると、心臓や肺の機能が低下し、治療が遅れると命に関わることもあります。
2. フィラリアの感染サイクル
フィラリアの感染サイクルは以下の通りです:
- フィラリアに感染した犬を蚊が吸血。
- 蚊内で幼虫が成長し、別の犬を刺す際に幼虫が新たな犬に感染。
- 約2~3カ月後、感染した犬の体内でフィラリアが成虫に成長し、心臓に到達して繁殖します。
3. フィラリアの症状
フィラリアの感染が進行することで、以下の症状が現れます:
- 初期・中期症状: 慢性的な咳、食欲不振、元気消失、毛づやの悪化、腹水がたまるなど。
- 末期症状: 呼吸困難、血を吐く、運動時の失神など。
4. フィラリア予防薬の種類
予防薬にはいくつかのタイプがあり、それぞれに合った方法を選ぶことが可能です。
経口薬(錠剤・粉薬)
- 特徴
・最もシンプルな内服タイプ
・月1回の投与が基本 - メリット
・価格が比較的安価で大型犬には経済的
・食物アレルギーや皮膚が弱い犬でも使いやすい
・腸内寄生虫も同時に予防できる製品あり - 注意点
・味に敏感な犬は吐き出すことがある
・投与後は吐き戻しがないか観察が必要
チュアブル錠・ジャーキータイプ(おやつタイプ)
- 特徴
・おやつのような味と食感で、噛んで食べるタイプ
・薬剤が練り込まれている
・月1回の投与が基本 - メリット
・犬が喜んで食べやすい
・投薬のストレスが少ない
・ノミ・マダニや腸内寄生虫も同時に予防できる製品あり - 注意点
・食物アレルギーのある犬には注意が必要(要・獣医相談)
滴下薬(スポットタイプ)
- 特徴
・首の後ろに液体を垂らして使用
・皮膚から吸収されて効果を発揮
・月1回の投与が基本 - メリット
・錠剤やおやつを嫌がる犬に適している
・食物アレルギーのある犬にも使える
・吐き出す心配がなく、確実な投薬が可能
・一定時間後ならシャンプーもOK - 注意点
・塗布場所をなめないよう注意が必要
・触られるのが苦手な犬や活発な犬には難しい場合あり
注射タイプ(年1回)
- 特徴
・動物病院で皮下注射
・半年~1年効果が持続 - メリット
・年1回の接種でOK、投薬忘れの心配がない
・薬を嫌がる犬にも安心 - 注意点
・フィラリアのみが予防対象(ノミ・ダニには非対応)
・成長期(体重変動が大きい)犬には不向き
・注射が苦手な犬にはストレスになることも
コリー系犬種と予防薬
コリー系犬種(コリー、ボーダー・コリーなど)は、「イベルメクチン」や「ミルベマイシン」に対して遺伝的に弱い場合があるため、使用時は獣医師と相談し、必要に応じて遺伝子検査を行うことが推奨されます。
5. 事前検査の重要性
フィラリア予防薬を使用する前に、フィラリアに感染していないかを確認する検査が重要です。
感染がある状態で予防薬を使用すると重大な副反応を引き起こすリスクがあるため、特に初めて使用する場合や休薬後には必ず検査を受けましょう。
6. 予防薬の投与期間
予防期間の基本
フィラリア予防は、蚊が活発に活動する時期(おおむね4月~12月)に行います。
予防薬の投与時期
フィラリアは「蚊に刺された後に体内で幼虫が成長するのを防ぐ」ものなので、蚊がいなくなってから1カ月後まで投薬を続ける必要があります。
地域ごとの違い
地域によって蚊の発生状況が異なるため、予防期間も変わることがあります。
東京都杉並区では5月~12月の予防が推奨されています。
7. 最後に
フィラリア症は、予防薬を適切に使用することでほぼ100%防ぐことができる病気です。
愛犬の健康を守るためには、定期的な予防薬の投与と検診が欠かせません。蚊が活発になる時期には予防を怠らず、獣医師と相談のうえ最適な予防方法を選びましょう。
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