【症例紹介】「食滞?」と思ったら…実は妊娠中だったウサギさんの診断例

こんにちは、久我山動物医療センターです。

今回は、少し珍しいウサギさんの症例をご紹介します。

「便が出にくく、食欲もあまりない」とのことで来院された子でしたが、診察を進めていくうちに、私たちも思わず驚く“本当の原因”が明らかになりました。

ご来院のきっかけ

飼い主さまは、「最近、食欲が落ちて元気がない」と心配されて来院されました。普段はよく食べ、元気に走り回る子だそうです。

診察では、お腹に“便とは異なる張り”のような感触がありました。

ウサギさんによくある初期のうっ滞(食滞)にも見えましたが、どこか違和感があり、慎重に検査を進めることにしました。

検査で判明した意外な事実!

念のため、レントゲンと腹部エコーを実施したところ——

なんと、複数の胎児の姿が確認されました!

飼い主さまも驚かれていましたが、よくお話を伺うと、男の子のウサギと同居していたとのこと。どうやら気が付かない間に交尾が行われ、妊娠していたようです。

 妊娠中の食欲不振に注意

ウサギは偽妊娠・ストレス・妊娠による変化などが原因で、一時的に食欲が落ちることがあります。こうした症状は食滞と非常によく似ているため、見分けが難しいことも。

また、ウサギの妊娠期間はおよそ30〜33日と非常に短く、気づかないうちに出産が近づいているケースも少なくありません。

早期に気づけないと、分娩時にトラブルが起きる可能性もあるため、注意が必要です。

今回の対応とその後

今回のウサギさんは、すでに妊娠後期に入っていたため、ストレスの軽減と栄養管理を優先し、静かな環境で様子を見ることにしました。

そして来院から数時間後、無事に元気な赤ちゃんウサギを出産!

母子ともに元気に過ごしており、飼い主さまも

「診察で妊娠がわかり、準備ができたおかげで無事に迎えられて本当によかったです」

と安堵されたご様子でした✨

最後に

ウサギさんの「食欲がない」「元気がない」といった症状は、単なる食滞だけでなく、妊娠やその他の体調変化が原因となっていることもあります。

特に、避妊手術をしていない女の子のウサギさんが男の子と同居している場合は、思いがけず妊娠しているケースも考えられます。

少しでも様子がおかしいな、と感じたら、どうか早めにご相談ください。

私たちは、どんな小さな変化でも見逃さず、大切な命を守るお手伝いをしています。

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