内視鏡を使った異物摘出

割れたメガネ

「ちょっと目を離したすきに、おもちゃを飲み込んじゃった!」 そんな経験はありませんか?

犬は好奇心旺盛な動物なので、食べ物以外の物も口にしてしまうことがあります。異物の誤食は命に関わることもあるため、早めの対処が大切です。

内視鏡による異物摘出とは?

誤って異物を飲み込んでしまった場合には、薬を使って吐かせる「催吐処置」や、動物用の内視鏡(胃カメラ)を使って異物を取り除く方法があります。

ただし、催吐処置は、鋭利な物や喉・食道に詰まりやすい物が対象の場合には危険を伴うことがあり、そのような場合には内視鏡による処置のほうが安全です。

内視鏡の先端には小型カメラがついており、さらに鉗子(かんし)という掴む器具を出し入れできる構造になっています。そのため、モニターで消化管内を確認しながら異物を鉗子で取り除くことが可能です。お腹を切る必要がないため、体への負担が少なく、回復も早いという大きなメリットがあります。

ただし、内視鏡で届く範囲には限界があり、異物が胃を越えて腸まで進んでしまった場合には、開腹手術が必要となることもあります。

実際の事例紹介

10か月齢のミニチュア・シュナウザーの男の子が、飼い主さんが気づかない間に眼鏡で遊んでレンズ部分を割り、一部を飲み込んでしまったかもしれないという主訴で来院されました。

割れたメガネ

超音波(エコー)検査の結果、胃内にガラス片が疑われる所見が確認されました。

エコー画像
ガラス片と思われる反射する異物を認める
胃のエコー画像:平たくてエコーを散乱させる異物が胃粘膜に張り付いている

鋭利なガラス片を吐き出すと食道などを傷つける恐れがあるため、催吐処置は行わず、内視鏡による異物摘出を行いました。

全身麻酔下で内視鏡を挿入し、鉗子を使って異物をひとつずつ慎重に取り出しました。

処置は無事に終了し、胃粘膜にも傷は認められず、術後は当日中に退院することができました。

当院では…

誤食が疑われる場合には、まずレントゲンやエコー検査で異物の位置を確認し、状態に応じて内視鏡や外科手術など、最適な治療方法をご提案しています。

内視鏡での処置には全身麻酔が必要ですが、体への負担が少ないため、適応となる場合には積極的に導入しています。

最後に

日ごろから、愛犬の手が届く場所に小物や危険な物を置かないよう心がけましょう。
それでも万が一、誤って飲み込んでしまった場合には、私たちが全力でサポートいたします。

当院では動物用の内視鏡を備えており、全身麻酔下での異物摘出に対応しています。
内視鏡による処置は開腹手術に比べて身体への負担が少なく、状態によっては日帰りでの対応も可能です。
また、内視鏡での摘出が難しい場合には、緊急での外科手術にも対応しております。

ご不安なことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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